メーカー修理とデータ復旧の順番は?
ポータブル(外付け)HDDが故障したとき、メーカー修理とデータ復旧ではデータ復旧が優先です。メーカー修理よりデータ復旧が優先される理由や、データトラブルの種類、データトラブルが起きたときに注意することについて、今回の記事で解説します。
メーカー修理とデータ復旧の違い
メーカー修理とデータ復旧は作業内容が大きく異なります。メーカー修理は正常な動作回復が目的ですが、データ復旧はデータのサルベージと移し替えが目的だからです。
大切なデータが入っているポータブル(外付け)HDDの場合、データ復旧を行ってからメーカー修理に出すという手順がおすすめです。逆の場合、大切なデータが失われてしまう恐れがあります。
メーカー修理とデータ復旧の違いについて理解し、正しい手順でデータ障害に対処しましょう。
メーカー修理
メーカー修理はポータブル(外付け)HDDをもとの正常な状態に戻すことが目的です。障害やトラブルが発生して故障したポータブル(外付け)HDDの不具合を起こしているパーツを交換し、正常に動作することを目指します。
ポータブル(外付け)HDDの場合、修理自体が難しい場合はまるごと交換することもあります。
このように、メーカー修理は「機器を故障前の状態に戻すこと」が目的であり、データ保証はありません。保存されていたデータが修理の過程で失われた場合、二度ともとには戻りません。
ポータブル(外付け)HDDをメーカー修理に出す場合、ストレージ内容が初期化されることへ同意を必要としているケースがほとんどです。
データ復旧
データ復旧とは、故障や障害を起こしたポータブル(外付け)HDDから、データをサルベージして新しいHDDに移し替えることです。メーカー修理とは異なり、障害を起こしたポータブル(外付け)HDDは修理されません。
データ障害には論理障害と物理障害があります。論理障害だった場合はデータ復元ソフトでデータ復旧できることもありますが、物理障害はデータ復旧サービスに依頼するしかありません。
ポータブル(外付け)HDDに大切なデータが入っているなら、メーカー修理よりデータ復旧を優先して行いましょう。
ポータブル(外付け)HDDが故障したと思ったら
「ポータブル(外付け)HDDがパソコンで認識しない」と思っても、じつは周辺機器のトラブルだというケースが多々あります。
電源やUSBケーブルの接続、ドライバの更新など、ポータブル(外付け)HDDが故障したと思ったときにチェックしておきたいポイントについて解説します。
電源やUSBケーブルの接続
ポータブル(外付け)HDDがパソコンに認識されていなくても、ポータブル(外付け)HDD本体が故障していないケースがあります。たとえば、ACアダプタやUSBケーブルの断線や不調はよくあるケースです。
ポータブル(外付け)HDDをパソコンが認識しない場合、USBケーブルが正しく接続されているか確認しましょう。くわえて、ACアダプタを予備のものに変えて試してください。パソコンが認識しないと思っていたら、単に電源スイッチを入れ忘れていただけというケースも見られます。
ポータブル(外付け)HDDの周辺機器の断線、トラブルによってパソコンが認識しないケースも多くあるので注意が必要です。
ドライバを更新
ポータブル(外付け)HDDがパソコンに認識されているかどうかは、デバイスマネージャーで確認しましょう。ポータブル(外付け)HDDが正しく認識されていた場合、デバイスマネージャーの「ディスクドライブ」にポータブル(外付け)HDDの型番が表示されます。
ポータブル(外付け)HDDがデバイスマネージャーに認識されていたら、ドライバを更新してみましょう。ドライバとはWindowsの周辺機器を動かすためのプログラムのことです。ドライバを最新版に更新すると、正常に動作するケースがあります。
デバイスマネージャーが認識していない場合は、外付けハードディスクの故障が疑われます。
ポータブル(外付け)HDDの障害の種類
ポータブル(外付け)HDDのデータ障害には2種類あります。論理障害と物理障害です。それぞれ、どういったデータ障害でどのような症状が出るのか解説します。
論理障害
論理障害はポータブル(外付け)HDDが物理的に破損しておらず、システムファイルの破損、誤操作によるデータ削除といったデータトラブルが起きた状態を指します。
- システムファイルの破損
- 誤操作によるファイル・フォルダの削除
- 「ディスクがフォーマットされていない」とメッセージが出る
- OSが起動できない
上記のような症状が論理障害の特徴です。
論理障害は、個人がデータ復元ソフトを使って対処することもできます。そのほか、システムの復元やディスクチェックも有効です。しかし、より安全で確実にデータを復旧するなら、データ復旧サービスを利用するのがおすすめです。
物理障害
物理障害はポータブル(外付け)HDDが物理的に故障した状態を指します。たとえば、水没や落下、落雷、衝撃による故障が物理障害です。物理障害はHDDのデータ紛失原因の半分を占めています。
物理障害では以下のような症状が出ます。
- 「カタカタ」と異音がする
- 焦げ臭い
- ポータブル(外付け)HDDをパソコンが認識しない
物理障害が起きたポータブル(外付け)HDDはデータ復元ソフトでは復旧できません。データ復旧を目指す場合は、速やかにデータ復旧サービスを利用しましょう。
ポータブル(外付け)HDDが障害を起こしたら
ポータブル(外付け)HDDがデータ障害を起こした場合、以下のことを避けるようにしましょう。
通電は避ける
特に物理障害の場合、ポータブル(外付け)HDDに通電させることは避けましょう。通電させ、動作させるだけで症状が悪化する恐れがあります。
故障している状態で通電すると、ポータブル(外付け)HDD内部でデータの読み書きを行う磁気ヘッドが、データ記録面であるプラッタと衝突して傷付けることがあります。
プラッタが傷付けられると、記録されているデータの復旧が非常に困難になります。
電源のオンオフを繰り返さない
ポータブル(外付け)HDDが故障している状態で電源のオンオフを繰り返さないようにしましょう。症状が余計に悪化し、データ復旧が困難になることがあります。
分解はしない
ポータブル(外付け)HDDは精密機械です。自分で分解して修理することはほぼ不可能です。くわえて、分解するとプラッタが傷付きデータ復旧が困難になるかもしれません。修理するときはメーカーに依頼するようにしましょう。
自分でデータ復旧するならリスクもある
論理障害の場合、データ復元ソフトで対処できることも。しかし、論理障害と物理障害で症状が似通っている場合があります。物理障害だった場合、データ復元ソフトのスキャンがポータブル(外付け)HDDに負担を与え、症状が悪化してしまうケースも考えられます。
自身でデータ復旧する場合、こういったリスクがあることを承知の上で行いましょう。
ハードディスクは修理前に復旧
ポータブル(外付け)HDDに大切なデータが入っている場合、故障したらまずはメーカー修理よりデータ復旧を優先しましょう。メーカー修理はデータ保証がされておらず、初期化されるケースが多々あります。データ復旧でデータをサルベージしてから、メーカー修理に出しましょう。
また、自分で修理しようとするのはおすすめできません。ポータブル(外付け)HDDは精密機械であり、個人での修理はほぼ不可能です。
適切な手順でデータ障害に対処して、大切なデータを取り戻しましょう。