HDDからパソコンをリカバリーしよう
昔のパソコンにはリカバリーディスクが付属していました。リカバリーディスクとはパソコンを初期状態に戻すことのできるディスクです。しかし、近年ではHDDの大容量化に伴ってリカバリー領域(回復パーティション)がHDDに搭載されています。
回復パーティションを利用することで、何かしらのトラブルがあってもパソコンをHDDから初期状態に修復できます。今回の記事ではリカバリーや回復ドライブ、イメージバックアップの作成方法などについて解説しました。くわえて、HDDから回復パーティションを削除して容量アップする方法も紹介しています。
HDDのリカバリーとは
パソコンにおけるリカバリーとは、パソコンを購入したときの状態に戻すことです。ウイルスへの感染、ソフトウェアの障害など何らかの原因でパソコンが正常起動しなくなったとき、リカバリーを行うことでパソコンを修復できる可能性があります。
近年のパソコンはHDD内に回復パーティション(リカバリー領域)が作られていることがほとんどです。古いタイプのパソコンはHDD内に回復パーティションがないこともあり、その場合はリカバリーディスクを読み込むことで修復します。
HDDのリカバリーの方法
HDDのリカバリー方法には2種類あります。
回復パーティションを使用する
HDD内の回復パーティションを利用する方法は、メーカーによって手順が異なります。取扱説明書を確認しながら作業を進めてください。
基本的な手順としては、BIOSやトラブルシューティングツール、設定メニューにある「回復」を起動します。その上で、「ドライブを購入時の状態に戻す」を選択します。
修復作業を行うとHDD内の保存データは消えてしまうため、あらかじめデータのバックアップを取っておきましょう。
リカバリーディスクや回復ドライブを使用する
古いパソコンではリカバリーディスクが付属していましたが、現在のパソコンでは付属していないことがほとんどです。そのため、事前にDVDやCDを使用してリカバリーディスクを作成しておくことが必要です。
Windows8以降は、ディスクの代わりにUSBメモリを使用した回復ドライブを作成します。
リカバリーディスクや回復ドライブを読み込むことでリカバリーできます。
リカバリー前の注意点
リカバリーには多くの時間がかかります。ドライブの完全なクリーンアップをする場合は半日ほど見積もっておきましょう。
リカバリー作業ははじめてしまうと途中で止められません。作業が完了しない状態で電源を落とすと、さらに症状が悪化する恐れがあります。時間に余裕を持ってはじめるようにしましょう。
回復ドライブの作成に必要なもの
リカバリーディスク作成に使用するメディアは以下です。
- USBメモリ
- CD-R
- DVD-R
- BD-R
近年はUSBメモリの値段が下がっており、USBメモリで回復ドライブを作成するのが一般的です。製品によって必要な容量が異なるので、USBメモリを使用するときは最初にマニュアルで確認しましょう。
なお、USBメモリのあまった部分に他のデータは保存できません。できるだけ適量のUSBメモリを使用しましょう。
回復ドライブの作成方法
回復ドライブやリカバリーディスクの作り方について解説します。
CD-RやDVD-Rで作成
- 「Windowsマーク」をクリック
- 「すべてのプログラム」の「ツール」から「再セットアップ用CD-ROM作成」をクリック
- 表示された画面で使用できるメディアや枚数を確認
- 使用するメディアを選択して「次へ」をクリック
- 「操作ガイド」画面が表示されるので、「作成開始ディスク・書き込み速度」を選択しクリック
- メディアをセットして作成を開始
USBで作成
- USBメモリをパソコンに接続
- 「Windowsマーク」をクリックして「Windows管理ツール」を選択
- 「回復ドライブ」をクリックして「ユーザーアカウント制御画面」が表示されたら「はい」を選択
- 「システムファイル」で「回復ドライブにバックアップします」にチェックし、「次へ」をクリック
- USBメモリが選択されているか確認して「次へ」をクリック。「作成する」を選択して作成開始
イメージバックアップの作成方法
イメージバックアップとは、現時点のパソコンの中身をまるごとバックアップする機能です。イメージバックアップを使えば、バックアップした時点にいつでも戻すことができます。
以下はWindows10で外付けHDDを使ったイメージバックアップの作成方法です。
- 外付けHDDをパソコンに接続
- 「コントロールパネル」から「システムセキュリティ」を選択
- 「バックアップと復元」をクリックし、「システムイメージ」に進む
- 「バックアップ保存場所」を「外付けHDD」にして「バックアップを開始」をクリック
メーカーから回復ドライブやリカバリーディスクを購入する
リカバリーディスクを作成していない場合、メーカーから回復ドライブやリカバリーディスクを購入する方法があります。NECやソニー、Lenovoなどの場合、5000円から1万5000円ほどでリカバリーディスクが購入できます。
回復パーティションを削除してHDDの容量を増やす方法
回復ドライブやリカバリーディスクを作ったら、HDD内の回復パーティション(リカバリー領域)は必要ありません。データを削除してHDDの容量を増やしましょう。
回復ドライブの作成中に回復パーティションを削除
USBメモリを使用して回復ドライブを作成する際に、HDDから回復パーティションを削除できます。回復ドライブの作成が終わったら「完了」を押さず、「回復パーティションを削除します」をクリックしてください。
パソコンによっては、回復パーティションを削除するオプションが表示されないことがあります。
Diskpartで回復パーティションを削除
Diskpart.exeを使用して、コマンドプロンプトから回復パーティションを削除できます。以下の手順にしたがって回復パーティションを削除してください。
- 検索ボックスに「diskpart.exe」と入力し、検索結果のdiskpart.exeを右クリックして「管理者として実行」を選択
- コマンドプロンプトに「list disk」と入力し、エンターを押してディスク番号を表示
- 「select disk n」と入力して回復パーティションが存在するディスクを選択。nは正しいディスク番号に置き換え
- 「list partition」と入力し、Enterを押してパーティション一覧を表示。削除する回復パーティションを見つける
- 「select partition n」と入力してEnter。nは回復パーティションの番号
- 最後に「delete partition」と入力して回復パーティションを削除
パーティション管理フリーソフトで回復パーティションを削除
Diskpartはコマンドプロンプトでの操作がありますが、パーティション管理フリーソフトならマウス操作で回復パーティションを削除できます。パーティション管理ソフトは無料で数多くリリースされています。
- EaseUS Partition Master Free
- GParted
- Partition Logic
上記3つがおすすめのパーティション管理ソフトです。HDDから回復パーティションを削除して容量を増加させましょう。
回復ドライブを作成して万が一に備えよう
HDDのリカバリーとはパソコンを工場出荷状態に戻すことです。HDDにはリカバリー領域(回復パーティション)が存在し、パソコンのトラブルや障害のときは工場出荷状態に戻せるようになっています。
Windowsで回復ドライブを作っておくと、万が一のときにも安心です。くわえて、回復ドライブを作っておけばHDDのリカバリー領域を削除して容量を増やせます。
パソコンのトラブルに備えてリカバリーディスクや回復ドライブを作っておきましょう。