HDDを取り外す必要が出たら
「ノートパソコンのHDDをSSDに換装したい」「古いHDDのデータを新しいHDDに移行したい」といった場合、HDDを取り外して交換する必要があります。HDDの取り外しはパソコンの種類によって難易度が大きく変わります。
ミドルタワーパソコンは簡単ですが、スリムタワーパソコンは比較的ハードルが高いです。ノートパソコンは機種によって難易度が異なります。今回の記事では、それぞれのHDDの取り外し方について解説しました。くわえて、HDDを取り外す状況やその後の作業の難易度についても紹介します。
HDDを取り外す状況
HDDの取り外しが必要な状況はいくつか考えられます。
- パソコンのシステムドライブをSSDへの換装
- HDDのエラーによるデータサルベージ
- 新しいパソコンへデータの移し替え
取り外し方自体は一緒ですが、その後の作業によって難易度が大きく変わります。たとえば、「パソコンのシステムドライブをSSDへの換装」は初心者にはかなり難しい作業です。逆に、「新しいパソコンへデータの移し替え」は誰にでも行えます。
HDDの取り外しが必要な状況や、その作業難易度について解説します。
パソコンのシステムドライブをSSDへの換装
ノートパソコンやデスクトップのシステムドライブをSSDに換装するとき、HDDを取り外さなければなりません。システムドライブをSSDに換装すればデータの読み込みや書き込み、起動が従来より速くなります。Windowsが立ち上がるまでの時間が短縮され、ストレスなくスムーズにパソコンが利用できます。
SSDへの換装を自分でするには、HDDの取り外してSSDに交換する必要があります。システムデバイスを取り外しが伴うため、初心者には難しい作業かもしれません。取り外し方以外にOSの移行やエラーが出たときの対処法といった知識が求められます。
HDDのエラーによるデータサルベージ
「ハードディスクエラーが頻繁に出る」「間違ってフォーマットしてしまった」などHDDが論理障害を起こしたとき、データのサルベージが必要です。システムドライブとデータドライブが同じ場合は、HDDと取り外して他のパソコンとUSB接続しデータのサルベージを行います。
データサルベージはデータ復元ソフトを使えば初心者でも簡単にできます。取り外したHDDもUSBで他のパソコンに接続するだけです。ただし、物理障害が起こっている場合は業者に任せるしかありません。HDDのエラーが論理障害か物理障害か見極める必要があります。
新しいパソコンへデータの移し替え
古いパソコンから新しいパソコンにデータを移し替えるとき、古いパソコンのHDDを取り外して新しいパソコンに接続します。USB接続や外付けHDDケースに入れて接続する方法が一般的です。データドライブのデータ移し替えは特殊なソフトもいらず、パソコン初心者でも行える作業です。
取り外しのための準備
取り外すHDDがシステムドライブかデータドライブかによって、準備しなければいけないことが変わります。それぞれの準備について解説します。
システムドライブの交換
システムドライブを交換する場合、交換した後のハードディスクにOSが入っていないとパソコンが起動しません。あらかじめOSを含めたデータをコピーしておくか、交換後にOSをクリーンインストールするためのディスクを用意しておく必要があります。
OSデータをコピーする場合は、交換した後にすぐ使えるというメリットがあります。コピーには専用の引っ越しソフトを使います。OSを入れ直す場合はインストールディスクの他に各種ドライバ、使っているソフトのインストールメディアを用意しておきましょう。
データドライブの交換
データドライブの交換はシステムドライブの交換と比べると簡単です。取り外した古いHDDから新しいHDDにデータを移し替えるため、USB接続できるケーブルや外付けHDDケースを利用する方法が考えられます。
その他にも、データの量にもよりますがブルーレイなど光学メディアへのデータの保存、オンラインのデータストレージの利用が考えられます。
取り外し方
パソコンにはミドルタワーパソコンやスリムタワーパソコン、ノートパソコンといった種類があります。これらのパソコンでどうやってHDDを取り外すか解説します。ミドルタワーパソコンは初心者でも簡単にHDDを取り外しできますが、スリムタワーパソコンは難易度が高い製品が多いです。
ノートパソコンは機種によって難易度が大きく変わります。新しいHDDを購入する前に取り外し方を予習しておきましょう。
ミドルタワーパソコン
ミドルタワーパソコンとは、デスクトップパソコンで比較的大きめの筐体の製品です。HDDの取り外し作業はパソコンの種類によって難易度が変わりますが、ミドルタワーパソコンはもっとも難易度が低くなります。ミドルタワーパソコンからの取り外しは以下の手順で行いましょう。
- 作業前に本体電源をコンセントから抜いて数分間放置し、放電します
- 両サイドのパネルを外します
- HDDの電源ケーブルとSATAケーブルを取り外します
- ベイのネジを緩めてHDDを取り外します
- ネジを落とさないように注意しましょう
スリムタワーパソコン
スリムタワーパソコンは、ミドルタワーパソコンに比べてHDDの取り外しがかなり難しいです。スリムタワーパソコンとは小さな筐体のデスクトップパソコンのことです。筐体内の空間が狭いため作業のハードルが高いです。無理だと思ったら業者やメーカーに依頼しましょう。
- 作業前に本体電源をコンセントから抜いて数分間放置し、放電します
- 筐体のカバーを取り外します
- 光学ドライブの下にシャドウベイが隠れているケースが多いので、光学ドライブを取り外します
- シャドウベイのネジを外しHDDを取り外します
ノートパソコン
ノートパソコンのHDDの取り外し方は機種によって大きく異なります。簡単に交換できる機種もあれば、難易度の高い機種もあります。交換前にあらかじめ、検索するなどして交換の難易度を調べておきましょう。今回は東芝dynabook15.6型の取り外し手順を紹介します。
- 作業前にバッテリーとACアダプタを外して放電します
- HDDが搭載されている部分のネジとカバーを取り外します
- HDDはマウンタにネジで固定されているので、マウンタごと取り外します
- マウンタからHDDを取り外します
- ノートパソコンのネジは小さいため、ドライバも小さめのものを用意しましょう
取り外したHDDの処分方法
取り外したHDDの処分方法について紹介します。
リサイクル業者に引き取ってもらう
取り外したHDDの処分は、パソコンのリサイクル業者がおすすめです。しっかりとデータを消去してくれるだけでなく、年式の新しいHDDなら買取で値段がつくこともあります。
分解して傷をつける
リサイクル業者に引き取ってもらう以外では、自分でHDDに傷をつけてデータを消去する方法があります。他の記事では「ハンマーで叩く」「ドリルで分解する」といった方法が紹介されていますが、ドライバ1本あればHDDのデータを消去できます。
- HDD裏側の銀色のシールを剥がします
- 穴があるのでドライバを差し込みます
- ドライバを左右に動かしましょう
- プラッタに傷がついたらOKです
取り外す難易度はパソコンの種類で変わる
HDDの取り外しはパソコンの種類によって難易度が大きく変わります。ミドルタワーパソコンは筐体内空間が大きく、取り外しが非常に簡単です。スリムタワーパソコンは筐体内空間が狭くハードルが高めです。ノートパソコンは機種によって難易度が大きく変わります。
スリムタワーパソコンやノートパソコンの場合は、新しいHDDを購入する前に取り外しの練習をしておくことがおすすめです。取り外しできない場合、新しいHDDが無駄になってしまうからです。予習しておいてスムーズにHDDの取り外しを行いましょう。