突然のHDD故障は誰にでも起こりうる
自分のパソコンを起動しようとしたら、電源がいつまでも起動しないというトラブルがあなたの身の回りでも起こるかもしれません。そのような場合、原因としてHDD・外付けHDDなどのデータ部分が故障している可能性があります。
本記事ではパソコンが起動しない、HDD(データ)破損の疑いがある方向けに確認のポイントや復旧方法をまとめました。
HDDはパソコン部品の中でも精密度が非常に高いため、自力で復旧させる場合には細心の注意が必要です。間違った方法で取り組んだ場合、HDDがダメージを負い、二度と復旧できない可能性もあります。
HDD障害の原因にはどんなパターンがあるのかをしっかりと把握しておき、適切な復旧対応がどれに当たるかを考えることが大切です。パソコンにあまり詳しくない方がついやってしまう間違った復旧作業もまとめていますので、むやみにやらないように参考にしてみてください。
起動しない場合の原因を抑えよう
パソコンが起動しない場合、幾つかの可能性が考えられます。HDDが物理的にダメージを負っていて、起動に障害を与えているケースや内部データが深刻な破損を起こし、内部環境に影響を与えているケースもあります。
主なHDDの故障原因なども含めて、まずはしっかりと覚えておきましょう。
①物理障害
論理障害とは文字どおりHDDが物理的に破損した場合に起こる障害です。HDDがそもそも認識されていないのであれば、物理障害の可能性は高いです。
HDDを構成する部品が経年劣化などにより動作不良を起こし、データを読み込むことができなくなってしまうというケースが多いです。物理的な障害ですので、破損個所自体は特定はしやすいです。
HDDから異臭や異音がしていたり、内部に傷がついていたり異物が混入してしまっている場合は物理障害を疑いましょう。物理障害は原因部分をクリーニングし、新規の部品を付け替えれば機能復旧できます。
しかし、部品の付け替えやには修理部品の準備や技術的なスキルが必要な場合もあります。
<物理障害の例>
- ハードディスクの異音
- OSの起動不全
- 画面フリーズ
- データの読み込み不可
②論理障害
論理障害とはハードディスク本体のデータ処理にトラブルが発生し、パソコン本体の起動にも影響を与える障害パターンです。
パソコンの電源自体はつくが、メーカーロゴが表示されて以降、そこから先に進めない場合やエラーメッセージが表示されてしまう場合は論理障害の可能性を疑いましょう。
ファイルそのものの破損や欠落は連動してほかの動作の停止も促してしまい、起動箇所にも影響を与えているのです。物理障害のように外部に傷や破損があるわけではないので、発生原因の特定は少し難しいかもしれません。
場合によってはコンピュータウィルスに感染しているケースもあります。
<論理障害の例>
- ファイルやフォルダが開けなくなった
- OSの起動が上手くいかない
- 画面がフリーズする
- ファイルにバグが発生する
③電源など接続の問題
HDDの故障というわけではなく、電源関連の故障ももちろん疑う必要があります。電源ランプがつかなかったり、パソコンの起動すらできない場合はパソコン内部の電源ユニットが故障している可能性があります。
このような状況だと、そもそもHDDが認識されていない状況ですので電源ユニットの部品交換を検討する必要があります。
パソコン修理とデータ復旧の違いにも注意!
ここでよくありがちな観点の補足をしておきます。パソコン初心者の方は“デバイス修理”と“データ復旧”を故障時に一緒くたに考えてしまいまいがちですがこれは全く違います。
デバイス修理(パソコン修理)はデバイスを元の機能通り正常に動かすことが目的として実施する修理ですが、オリジナルのデータを考慮した修理ではありません。
データを取り出さずに、HDDを交換すれば故障時のデータは当然ながらもどりません。HDD内のデータを取り出したいのであれば、パソコン修理ではなくデータ復旧の観点での対応が必要であることを頭に入れておきましょう。
認識しないHDDの復旧方法を確認
前章の故障の原因パターンをある程度抑えることができたら、次は具体的な復旧方法に関して検討していきましょう.大前提として、HDD破損を自力で復旧するのは基本的には難易度が高い作業だということは覚えておいてください。
場合によっては成功率は半分だとも言われています。とは言え、HDD障害が軽度の場合は自力で復旧できるパターンももちろんあります。
BIOSで対応できるか確認
BIOSとは通常の画面とは異なる青いPC設定画面のことです。PCの細部設定を行う際のメニュー一覧であり、ここから原因を特定して復旧できる可能性があります。
BIOS起動方法は各PCメーカーやOSによって異なるので自分のパソコンの対応方法を確認が必要になります。BIOSの対応を行えている時点でハードディスクは認識されているため、原因としては論理障害の可能性が高いとも言えます。
そのままBIOSの設定で復旧できるものであれば軽度ですが、難しいようであれば持ち込んだほうが賢明なほどの論理障害とも言えますので注意が必要です。
エラーチェッカーでの自動修復を利用
自分のパソコンがWindowsの場合、エラーチェック機能を利用して論理障害を自動で復旧できる場合があります。軽度のファイルシステム障害やセクタ不良はチェッカーによる自動修復の対象になり得ます。
反対に物理障害の場合はエラーチェッカーの実行が不具合を加速させる可能性があります。物理障害の疑いが少しでもある場合はエラーチェッカーは使わないほうがいいでしょう。
データ復旧ソフトの利用
現在は市販でもデータ復旧用のソフトが販売されています。データ復旧ソフトとは、アクセス不可能となった状態のファイルデータをスキャンし、USBや別のHDDといった外付け媒体へ吸い出す作業を行ってくれるソフトになります。
大前提として、データ復旧ソフトでデータスキャンを実施するためには対象データの保存領域に異常をきたしていないことが必要です。
例えば、ハードディスクそのものに物理障害による大きなダメージが起きていた場合やファイル保存領域が取り出し不可能な障害が起きている場合にはデータスキャンそのものが難しくなります。
とはいえ、復旧ソフトの使用には多少知識が必要になる可能性もありますし、悪質なソフトを利用した場合には復旧どころかデータを失ってしまうケースもあります。
原因を明確化し、信用できるデータ復旧ソフトを扱える場合でなければあまりお勧めはできないかもしれません。
ケーブル交換の検討
電源供給の観点で問題を抱えている場合は、電源ケーブルをまずは変更してみましょう。利用しているケーブルがほかのHDDでも反応がない場合はほかのケーブルいようすれば復旧する可能性は高いです。
また一つのケーブルだけでは起動に必要な電力を十分に供給できていない場合もあります。ACアダプターやUSBポートを利用して、2つ以上のポートから電源供給を試して起動するかどうか確かめてみましょう。
専門業者に任せる
軽度なHDD障害であれば、上記の方法を実践して自力で復旧を検討できます。しかし、故障度合いが大きい場合は自力での復旧は困難です。
そんな時は大人しくデータ復旧の専門業者へ依頼することが一番の近道になります。専門家やデータ復旧作業を実践できるツールや環境を取り揃えていますし、安心で効率的です。
最近のHDD復旧業者は無料の診断やヒアリングを行っているケースもあるので気軽に問い合わせすることができます。「とは言っても、どんな復旧業者に依頼すればいいか分からない」という方もいらっしゃると思います。
そんな方のために、筆者がおすすめするデータ復旧業者を1社、下で紹介します。
データ復旧業者紹介~ウィンゲット
ウィンゲットは全国各地に拠点を展開している大手のデータ復旧専門会社です。あらゆるデータ形式にも対応できる充実した復旧サポート力と圧倒的な実績ノウハウを有しています。
鉄道や自治体、文教機関など様々な公的機関からも依頼されており信頼と実績はデータ復旧業界でもピカイチと言われています。
データ復旧にかかる対応スピードも売りにしており、早い場合は1時間弱でデータ復旧作業を終了させてしまいます。
修理を依頼するまでのサポートも非常に充実しており、店舗に出向くことが難しい場合にはリモートでの無料相談・無償診断を24時間提供しています。加えて、修理対応も持ち込む必要はなく直接修理専門者を派遣してくれます。
特に拘りがなければ、自分の住んでいる場所に近いウィンゲット店舗に相談してみましょう。
ついついやってしまう危険作業に注意!
ここまで復旧方法を見てきましたが、初心者がやりがちなやってはいけない復旧行為もありますので合わせて紹介していきましょう。
電源オンオフの繰り返し
一番多いのがとりあえずパソコンの再起動を繰り返す方法です。他の電化製品やテレビのように正常に戻るケースもなくはないですが、PCは基本的に起動とシャットダウンを繰り返すとそれだけで大きな負担がかかります。
一度ならば試しても構いませんが、それ以上は故障を悪化させる要因にもなりかねないので控えましょう。
OS再インストール(リカバリー)
リカバリーは既存のデータを全消去し、パソコンを利用可能な状態に初期復旧する作業になります。単純にパソコンを使える状態にするためには有効な方法の一つですが、既存データは物理的に完全になくなり、復旧させる方法がゼロになってしまいます。
障害が発生し、”ファイルデータにアクセスできない状態”ではなく”データそのものが物理的に存在しなくなる状態”がリカバリー作業です。
“元データはあまり重要ではなく、とにかくパソコンを動かせるようにしたい”、”すでに他にバックアップを完了している”といったケース以外はリカバリー作業は絶対に行わないようにしましょう。
無理やり分解作業
一般人が分解作業で故障原因を特定することは全くおすすめできません。
上述した通り、HDDはパソコンの中でも非常にデリケートな精密部分であり、少しのほこりや指紋、塵などが混じると更なる異常をきたす可能性もあります。
HDDを分解、開封した時点でメーカーの保障対象から外れてしまう可能性もあるので、補償期間内であればメーカー問い合わせも視野に入れましょう。
そもそも、内蔵されているHDDを分解しても得られる情報は一番上のメディア部分に破損があるかどうかのみになりますし、この情報自体が復旧をあきらめるしかない判断材料にしかならないのです。
それどころか復旧の余地があったのに無理に分解したことで復旧の可能性がなくなってしまうケースもあります。
まとめ 起動しないHDDの復旧ポイントを整理
いかがだったでしょうか?
パソコンが起動しなくなり、HDDが故障した場合の対応法を最後に振り返ってまとめてみましょう。
まずは起動しない原因パターンを抑えよう
- 物理障害⇒HDD本体の破損
- 論理障害⇒HDD内部のデータファイル破損など
- 電源関連での問題
HDDの具体的な復旧方法を抑えよう
- BIOS対応
- エラーチェッカーによる自動修復
- データ復旧ソフトによる復旧
- ケーブル交換の検討
- 難易度の高いHDD故障は専門業者に依頼
初心者にありがちな危険な復旧作業行為も覚えておこう
- 電源オンオフの繰り返し⇒パソコン負荷がかかり、故障が悪化する可能性あり
- リカバリー作業⇒HDD内部データが完全になくなってしまう
- 分解作業⇒デリケートな作業なうえ、メーカー保障も消えてしまう