違法データのデータ復旧に業者は使える?
パソコンや外付けハードディスク、HDDのデータトラブルは突然やってきます。そんなとき、頼りになるのがHDD復旧業者ですが、もしもパソコンに違法データが入っていたらどうすればよいのでしょうか?
結論から言えば、違法データが入っている状態でのデータ復旧はおすすめしません。通報されて賠償請求や警察沙汰といった自体はまれですが、リスクはゼロではありません。違法データが入っている疑いがあるなら、データ復元ソフトで復元するのがよいでしょう。
今回の記事では、違法データ入りの外付けハードディスクやパソコン、HDD、メディアのデータ復旧を依頼するとどうなるのかについて解説します。違法データと関連する法律や、違法データが入ったメディアや外付けハードディスクをHDD復旧業者がどう扱うのかも記事で紹介します。
HDD(ハードディスク)の違法データが違反している法律とは
違法データが違反している法律の代表例は以下の3つです。
- 著作権法
- 個人情報保護法
- 児ポ法
HDD内にこれらの違法データがあった場合、データトラブルでHDD復旧業者に依頼すると通報されるリスクがあります。
著作権法
違法データの代表例が著作権法違反です。著作権法とは、知的財産権の1つである著作権の範囲や内容について定めた法律です。著作物とは「自分の考えや気持ちを作品として表現したもの」であり、著作物を著した作者を著作者と呼びます。
違法データの著作物として考えられるのは、違法にダウンロードされた映画やアニメ、動画、マンガ、音楽、ソフトなどです。これらをダウンロード、鑑賞する行為は著作権侵害です。
違法データのダウンロードの罰則は2年以下の懲役、または200万円以下の罰金となっています。ただし、違法データのダウンロードは親告罪で、著作者の告訴があった場合のみ刑事訴追の対象となります。
個人情報保護法
個人情報保護法も違法データに関わる代表的な法律です。
個人情報保護法とは、個人の情報を保護するために作られた法律です。2005年に施行され、個人情報を取り扱う事業者すべてが対象です。
個人情報保護法はどちらか言えばHDD復旧業者を規制するための法律ですが、仮に依頼主が違法に個人情報を集めている事業者だった場合は違法データとなり得ます。
個人情報保護法に違反した場合、罰則は6ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰金です。不正な利益を得る目的で個人情報漏洩を行った場合はさらに重くなり、1年以下の懲役、または50万円以下の罰金となります。
児ポ法
児ポ法も違法データと関わりの深い法律です。児ポ法の正式名称は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」と長く、通称は「児ポ法」と略されます。
児ポ法では、以下すべてに当てはまるものを違法データと定義しています。
- 18歳未満の男女を被写体を撮った写真や動画
- 性欲を刺激するもの
- 性器や胸を露出・強調しているもの
なお、児ポ法では違法データの単純所持も罪になります。違法データを所持していた場合、1年以下の懲役、または100万円以下の罰金です。
なお、児ポ法では架空のアニメやマンガは対象外です。
HDD復旧業者に中身は見られる?
もし違法データが入っていたとしても、HDD復旧業者に中身が見られなければ大丈夫と考える人もいるかもしれません。しかし、HDD復旧作業で中身が見られる場合があります。
HDD復旧業者は、HDDの内容が復旧できたかどうか確認します。実際にデータを確認してみないと、復旧できたかどうかわかりません。そのとき、ファイルやフォルダの内容を見られることがあります。
データが開けるかどうか確認するだけで、詳しい内容まで見られることはありません。
違法データがHDDに入っていたら警察に通報される?
データ復旧業者にとっても違法データの取り扱いは危険です。上述したとおり、違法データは著作権法、個人情報保護法、児ポ法が大きく関係しています。これらの法律は、取り扱っているデータの内容を知らなければ問題ありません。しかし、HDD復旧業者はファイルやフォルダの内容を確認することがあります。
HDD復旧業者が法に触れないために、復旧作業を行っているデータは依頼者に正当な所有権があると保証してもらう必要があります。そこで、お客様に復旧依頼書への署名と捺印を行ってもらいます。
万が一、違法データを取り扱っていたとしても、依頼者の責任として処理するための措置です。データ復旧協会に所属している大手の場合、児童ポルノは発見次第、重点的に通報するとの情報もあります。
契約に「違法データの場合は解約」と書いてあることも
HDD復旧業者にとっても違法データは取り扱いが危険です。復旧依頼書でデータの所有権をしっかりと確認するとともに、契約書では違法データが見つかった場合に備えて条項が設けてあることもあります。
たとえば、あるHDD復旧業者は「当社側で違法データが見つかった場合、即座に解約する」との旨を契約書に記しています。違法データが入っているHDDを復旧依頼した場合、途中解約されても文句は言えません。
HDD復旧業者を選ぶポイント
HDD復旧業者を選ぶポイントについて解説します。
復旧率
HDD復旧業者に依頼するのは、自分でHDD復旧するより安全・確実だからです。HDD復旧業者の技術力の目安となるのが復旧率です。
高い復旧率を謳っている業者は、それだけ技術力に自信があります。HDD復旧業者を選ぶなら、復旧率を目安にしましょう。
実績
実績もチェックしておきましょう。実績の豊富なHDD復旧業者は経験値が多く、論理障害や物理障害などいろいろなケースのデータトラブルに対処できます。
「今まで○万件のHDD復旧」と謳っているものから、ブログで実際のHDD復旧の工程を公開しているHDD復旧業者までさまざまです。創業してからの期間が長く、数多くのHDD復旧を手がけているHDD復旧業者がおすすめです。
セキュリティ
個人情報や企業データ、技術データなど外部に知られてはいけないHDD復旧の場合、セキュリティを重視しましょう。
大企業や官公庁から依頼を受けているHDD復旧業者は信頼性が高いです。ほかにも、ISO27001やPマークの認定を受けているHDD復旧業者もおすすめです。
復旧スピード
パソコンやハードディスクでデータトラブルでは、早々に復旧しないと困るケースがあります。急ぎの場合は「特急サービス」「お急ぎサービス」といったコースを用意しているHDD復旧業者を頼りましょう。
くわえて、宅配発送の場合は時間がかかりますが、店舗を構えているHDD復旧業者なら即日対応してくれることも。
初期費用
多くのHDD復旧業者は初期診断・見積もりが無料です。希望のデータが復旧できたら料金を支払う、完全成果報酬制のHDD復旧業者も多く存在します。初期費用が発生するHDD復旧業者は避けることが大切です。
違法なデータの収集はやめておきましょう
著作権法も児ポ法も違反すると重い罰則があります。特に、児ポ法は単純所持しただけで罰せられますので、違法データの収集はやめておきましょう。マンガやアニメ、ソフト、音楽なども著作権法に従い適法なダウンロードや視聴を心がけましょう。
外部に公開できないデータが入っている場合は、データ復元ソフトの使用も検討してください。
違法データのダウンロードは最悪の場合、賠償や懲役の対象となります。違法データを収集しているなら、データトラブルでHDD復旧業者に頼るのはおすすめしません。